冷える初冬の空は清々しく澄んで
幾千の星々が瞬いている。
今夜はハロウィン。
気まぐれな神が唐突に主催したパーティは
大盛況であった。
「パーティ楽しかったネ。」
「そっスね!
こんなサプライズ考えてなかったっス。
…てか、なんで結成日ご存知だったんでしょ?」
「神だからな。」
「神だし。」
アッシュの素朴な問いかけに二人は絶妙に息の合った返事をした。
「…もはやそれ魔法の言葉っスね。」
そう言って苦笑した刹那
強い向かい風に煽られる。
「うわっ…」
「うーん…やっぱちょーっと寒いカナー。」
「でしょうね。
ところでスマイル。
包帯取れてますけど…」
「ヒヒヒッ☆気にシナーイ☆」
「…まぁ、いいっスけどね…」
「イヤー…
しっかしまさかこんな移動手段になるとはネ。
ホウキとは…正にハロウィンだけどサ
流石のボクも予想してなかったヨ☆」
「…の割に楽しんでねぇっスか?」
「そりゃ愉しいもん♪」
「あの神は楽しければ何でも良い様だが
それに乗るお前も大概だな。」
「…っスよねぇ。」
再び強い向かい風に煽られ
僅かに急降下するとスマイルの後ろでアッシュは声を上げた。
「てか!落ちるっス!!」
「しっかり掴まってなヨ、わんちゃん♪」
「わんちゃん言うなっつの!
この姿でしがみつくの大変なんスよ!!
もっと上手く扱えっ!」
「…ムチャ言わナイでヨ…」
静かな夜の空に賑やかな声が響く。
「お前達、流石に騒々しいぞ。」
眼下に広がる街の景色は華やかなハロウィンの装飾と電飾に彩られていた。